タナカ ヨシオ   Tanaka Yoshio
  田中 芳夫
   所属   東邦大学  薬学部 薬学科
   職種   教授
言語種別 日本語
発表タイトル ドコサヘキサエン酸(DHA)による血管収縮抑制の機序:BKチャネル活性化経路におけるCYP依存性エポキシゲナーゼ代謝産物の関与
会議名 第126回日本薬理学会関東部会
学会区分 国内学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎茅野大介†, 青木美歌†, 佐藤恭輔†, 小原圭将†, 田中芳夫†
発表年月日 2012/07/14
開催地
(都市, 国名)
東京都(北里大学)
学会抄録 第126回日本薬理学会関東部会 プログラム・要旨集 83
概要 【目的】当研究室では、モルモットとラット胸部大動脈を用いた実験で、DHAがTXA2受容体(TP受容体)を介した持続性収縮を著明に抑制することを見出し、その機序の一つとしてBKチャネルの活性化が関与することを報告してきた。一方、DHAなどのn-3系多価不飽和脂肪酸は、シトクロムP450(CYP)依存性エポキシゲナーゼ(EOX)の基質となることが知られており、近年、その代謝産物が種々の生理反応を引き起こすことが示されている。そこで、今回は、DHAの血管収縮抑制効果に対するCYP依存性EOX代謝産物の関与の可能性とK+チャネルの役割について検討した。
【方法】実験にはWistar系雄性ラットの胸部大動脈内皮剥離標本を供し、張力変化を等尺性に記録した。CYP依存性EOX阻害薬(SKF525A、Miconazole)を用い、その非存在下または存在下で、U-46619(TXA2安定誘導体)をはじめとする各種血管収縮薬によりもたらされる持続性収縮に対するDHAの抑制効果を比較した。また、K+チャネル抑制薬存在下でも同様の検討を行い、DHAとそのCYP依存性EOX代謝産物の血管収縮抑制作用に対するK+チャネルの寄与を評価した。
【結果】① DHAは、CYP依存性EOX阻害薬の有無に因らずU-46619によるTP受容体を介した持続性収縮を著明に抑制した。② SKF525A非存在下でのDHAの収縮抑制効果は2 mM TEAにより消失したが、SKF525A存在下でのDHAの収縮抑制効果はTEAにより影響を受けなかった。③ DHAのCYP依存性EOX代謝産物である16(17)-EpDPEは、U-46619による持続性収縮を濃度依存的に抑制し、その抑制効果は2 mM TEAにより消失した。
【考察】本研究より、TP受容体を介した血管収縮に対するDHAによる抑制効果は、CYP依存性EOX代謝産物を介した成分とEOX代謝産物を介さない成分からなり、BKチャネルの活性化はCYP依存性EOX代謝産物によりもたらされる可能性が示唆された。