タナカ ヨシオ   Tanaka Yoshio
  田中 芳夫
   所属   東邦大学  薬学部 薬学科
   職種   教授
言語種別 日本語
発表タイトル ドコサヘキサエン酸(DHA)の血管収縮抑制に関わる機序の解明を目指した基礎的検討-エイコサノイド受容体を介した収縮に対する選択的抑制の可能性の再検証-
会議名 第53回日本平滑筋学会総会
学会区分 国内学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎佐藤 恭輔†, 小林 友也†, 茅野 大介†, 田中 芳夫†
発表年月日 2011/08/03
開催地
(都市, 国名)
東京(ゆうぽうと)
学会抄録 日本平滑筋学会雑誌 15(1),J-29 2011
概要 【目的】我々は、第52回日本平滑筋学会総会で、ω-3系多価不飽和脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(DHA)が、エイコサノイドによるラット胸部大動脈の持続性収縮を顕著に抑制することを報告した。本研究では、DHAの血管収縮抑制効果がエイコサノイド受容体を介した収縮に対して選択的であるか否かをさらに詳細に吟味する目的で、他の薬物受容体を介した収縮や高カリウム液による収縮に対するDHAの抑制効果を再検討した。また、血管内皮由来弛緩因子の関与やKチャネルの役割についても併せて検討した。
【方法】ラット胸部大動脈ならびに腸間膜動脈リング標本を実験に供し、各種血管収縮刺激による持続性収縮に対するDHAの抑制効果を等尺性に記録した。
【結果】① DHA(10-5 M)は、80 mM KClによる収縮や、これとほぼ同程度の収縮高をもたらすフェニレフリン(Phe)による収縮はほとんど抑制しなかったが、U-46619やPGF2αlphaによる収縮のほか、5-HTによる収縮に対しては強い抑制を示した。② U-46619、PGF2αlpha、5-HTによる持続性収縮に対するDHAの抑制効果は、内皮の有無、NOSやCOX阻害薬により影響を受けなかった。③ DHAは、80 mM KCl収縮の3割程度の収縮高をもたらす場合は、PheやHigh-KClによる収縮をほぼ完全に抑制した。④ DHAによる収縮抑制は、4-アミノピリジンやアパミンにより影響を受けなかったが、テトラエチルアンモニウム(TEA)により減弱した。
【考察】本研究結果から、DHAが、エイコサノイド受容体以外の受容体を介した血管収縮に対しても、これを抑制しうることが明らかとなった。また、DHAの血管収縮抑制効果は、血管平滑筋に対する直接作用によってもたらされ、その一部に、BKチャネルなどのKチャネルの活性化が関与する可能性も示唆された。