タナカ ヨシオ
Tanaka Yoshio
田中 芳夫 所属 東邦大学 薬学部 薬学科 職種 教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発表タイトル | 尿排出機能障害に対して用いられる各種副交感神経系作用薬の膀胱収縮機能に対する影響の比較 |
会議名 | 第122回日本薬理学会関東部会 |
学会区分 | 国内学会 |
発表形式 | 口頭 |
講演区分 | シンポジウム・ワークショップ パネル(その他) |
発表者・共同発表者 | ◎田中芳夫†, 相川直己、関谷更沙†, 重松舞衣†, 佐藤恭輔†, 通川広美† |
発表年月日 | 2010/06/05 |
開催地 (都市, 国名) |
静岡市 |
学会抄録 | 第122回日本薬理学会関東部会・第14回神経科学領域における分子モニタリングシンポジウム プログラム・要旨集 46 |
概要 | 【背景・目的】手術後や糖尿病などの慢性疾患に付随して発症する尿排出機能障害(低活動膀胱)に対しては、可逆的コリンエステラーゼ(ChE)阻害薬であるジスチグミン(Dis)やネオスチグミン(Neo)、さらには合成コリンエステルであるベタネコール(Bet)が適応される。本研究では、これら副交感神経系作用薬の膀胱収縮機能に対する作用の特徴を明らかにすることを目的として、in vivo ならびにin vitro の評価系を用いて、膀胱内圧や摘出排尿筋標本の収縮性に対する影響を検討した。
【方法】シストメトリー法により、麻酔下モルモットの膀胱内圧変動を記録した(in vivo評価系)。また、モルモットから摘出した排尿筋標本を用いて、アセチルコリン(ACh)の収縮作用ならびに基礎張力に対する影響を検討した(in vitro評価系)。 【結果】① Dis(0.03-0.1 mg/kg)は、蓄尿時の最小膀胱内圧(IVPmin)には影響を与えずに、排尿時の最大膀胱内圧(IVPmax)を用量依存的に有意に増大させ、この効果は少なくとも4時間持続した。② Neo(0.03 mg/kg)は、IVPmaxを有意に増大させたが、その効果は、Neo投与の約30分後には消失していた。用量を0.1 mg/kgに増量すると、投与直後から膀胱内圧は顕著に上昇した。③ Betは、0.03 mg/kgではいずれのパラメータにも顕著な影響を与えなかったが、0.1 mg/kg以上の用量では、排尿量の減少を伴う排尿反射を多発させ、蓄尿時の膀胱運動も亢進させた。④ Dis(3×10-8-3×10-6 M)は、排尿筋標本の基礎張力にほとんど影響を与えることなく、神経刺激やAChによる収縮を有意に増強した。⑤ Neoは、10-8 M以上の濃度において、AChの収縮作用を著明に増強したが、10-7 M以上の濃度では、基礎張力の上昇効果も強力であり、AChの収縮作用のみを増強する濃度範囲は、極めて限定されていた。⑥ Bet(3×10-7-10-4 M)は濃度依存的に基礎張力を著明に上昇させた。 【考察】排尿反射の頻度に影響を与えずに、排尿反射時の膀胱収縮力のみを著明に増強させ、また、その効果に長時間に亘る持続性が認められることなどを考慮すると、尿排出機能障害に対しては、Disが最も効果的な治療効果をもたらすものと推察された。 |