ハシヅメ マサヒロ   Hashidume Masahiro
  端詰 勝敬
   所属   東邦大学  医学部 医学科(大森病院)
   職種   教授
言語種別 日本語
発表タイトル パニック発作と脳波異常-脳波異常と症候、心理テストの調査からみた病態の考察-
会議名 第1回日本不安障害学会
学会区分 国内学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎林 果林1†,佐谷健一郎1†,菅 重博2†,端詰勝敬1†,中野弘一3†,坪井康次1†
発表年月日 2009/03/28
開催地
(都市, 国名)
東京、日本
概要 目的)パニック発作患者に脳波異常が本当に多く存在するのかどうか、また異常の種類について検討を行った。また、心理テスト(STAI、GHQ26、PDSS)のデータについて解析した。対象と方法)平成19年2月~平成20年7月までに東邦大学大森病院心療内科を初診し、症状にパニック発作を認め、脳波検査に同意を得た70名。さらに脳波検査を行った者の中で59名に症候についての質問紙と心理テストの協力を得られた。結果はΧ2検定を行った。
結果)脳波異常は70例のパニック発作患者のうち16名(22.9%)に認められた。これまでに報告されている健常者の脳波異常率は5-10%(Gibbsら1943・1950、藤谷ら1969、Eeg-Olofssonら1971)であり、有意に健常者より高い比率を示した。今回研究に組み込みこまれたパニック発作症例の中で最終診断がパニック障害と診断されるものは45名(64.2%)であった。その他はパニック障害の診断はつけられないものの、パニック発作を伴う適応障害、身体表現性障害、全般性不安障害などに分類された。16名の脳波異常を認める症例では、その後の経過、脳波所見等から1症例が実はてんかん発作であると診断された。16名の脳波異常の種類については、12名において間欠的に認められる「徐波」であった。異常の出現部位は全般性や左右差がはっきりしないものも多いが、右側優位であるものが4名認められた。症候についての質問紙や心理テストのデータ解析では、現段階では脳波異常例と正常例の間に明らかな有意傾向は認めておらず、細かい解析を進めている。
【考察】徐波は局在性を認めれば、大脳皮質近辺の一定部位の病変を示唆するが、全般性であれば、脳幹部やそれに近い脳深部の異常を反映しているといわれている。
【結語】今回パニック発作という現象における脳波異常率は正常者に比べ明らかに多いことがわかった。その所見の意味はてんかんの病態を示唆する場合もあるが、ほとんどの場合は脳波異常が存在してもパニック発作と診断できるものであった。脳波異常の意味する状態は不明だが、昨今のパニック障害研究を考慮すると、易発作性という脳の器質および機能的特徴を捉えているのかもしれない。