ハヤシ カリン   Hayashi Karin
  林 果林
   所属   東邦大学  医学部 医学科(佐倉病院)
   職種   准教授
言語種別 日本語
種別 部分執筆
表題 身体表現性障害
書名 心身医学用語事典第3版
版・巻・頁 149-149頁
出版社三輪書店
出版地
(都市, 国名)
東京都
著者・共著者 林 果林
発行年月 2020/11/23
概要 身体表現性障害somatoform disorder 疾・概
身体表現性障害という診断単位はDSM-Ⅲ(1980)の診断分類
で初めて取り上げられ,以降ICD-10,DSM-Ⅳ-TR などの国
際的操作的診断基準に引き継がれ,心身医学の中で多く用いら
れている概念である.身体疾患を示唆する症状を有するが,そ
れを説明できる器質的病変,または既成の病態生理学的機序は
現在の検査手順では証明し理解することができず,心理的構造
によって最も明らかに概念化できる病態とされてきた.
ICD-10 では身体化障害,鑑別不能型身体表現性障害,心気障
害,身体表現性自律神経機能不全,持続性身体表現性疼痛障害,
し他の身体表現性障害に分けられ,特に「身体化障害」は内科や
プライマリ・ケアで不定愁訴患者または自律神経失調症とされ
ているものとほぼ同じ病態で,「身体表現性自律神経機能不全」
はいわゆる心身症の病態の一部を表現している.しかし,この
概念は心身医学になじまないとする立場もあり,実際DSM で
は,DSM-Ⅳ-TR からDSM-5 への改訂において,大きく変化
している.まず名称が「身体表現性障害」から「身体症状症お
よび関連症群」に変更され,医学的に説明不能な症状のもつ重
要性を強調せず,その症状に対する反応としての思考・感情・
および行動の異常を基準とした.その意図は,医学的に説明で
きないことを診断の基礎に置くことを問題とし,心身二元論を
強調しないためである.下位分類は身体症状症・病気不安症・
変換症/転換性障害(機能性神経症状症)・他の医学的疾患に影
響する心理的要因に加え,作為症/虚偽性障害もこのカテゴリー
に入ることになった.ICD-11では,「身体的苦痛症群または身
体的体験症群」に相当する.