ヤナセ タカシ   Yanase Takashi
  柳瀨 隆
   所属   東邦大学  理学部 化学科
   職種   講師
研究期間 2017/04/01~2020/03/31
研究課題 分子のトポタクティック脱水素炭化による新しい炭素同素体の合成と機能開拓
実施形態
研究委託元等の名称 日本学術振興会
研究種目名 基盤研究(B)
研究機関 北海道大学
科研費研究課題番号 17H03380
研究者・共同研究者 島田 敏宏,柳瀬 隆,川村 史朗,山口 誠
概要 本研究は、まだ未解明の点が多い有機化合物の焼成による炭素材料の形成の基礎を掘り起こし、原料分子合成、高温高圧プロセスおよびCVD等の製膜プロセスによる炭素固体合成、電子顕微鏡や紫外ラマンを用いた構造解析、計算科学による反応過程の解明、さらに光触媒や電極触媒等、局所構造に由来する新機能の探索を行うことを目標としている。 平成30年度には、以下のような成果が得られた。(1)平成29年度に導入したキュービックアンビル高圧装置を用いて高圧実験を行い、室温で分子の重合が起こることを見出し、第一原理計算により起こっている現象を解析した(Jpn.J.Appl.Phys. 58, SBBG13(2019))。また、高圧印加下で温度を上昇させると気体発生を伴う爆発的反応が起こることを明らかにした。(2)グラフェンと六方晶窒化ホウ素を原料としてトポタクティック合成した炭素材料の磁性測定を行い、発現する強磁性の詳細な測定と解釈を行った(J.Alloy.Compounds in press)。(3)リチウムアセチリドLi2C2を合成し、アルカリ金属やヨウ素との反応を調べた。アルカリ金属との反応では、実験の精密化によりsp2とsp3が混じった炭素が得られたことを明確に確認した。ヨウ素との反応では、200℃という低温でも結晶性の高いグラフェンナノリボンが得られることがわかった。その他、温和な条件で多様な炭素が得られることを明らかにした。その他、合成した有機分子の結晶構造からバンド計算により物性を予測するなど、派生的な研究も行った。