ヒグチ ケイ   Higuchi Kei
  樋口 慧
   所属   東邦大学  薬学部 薬学科
   職種   准教授
研究期間 2021/04/01~2024/03/31
研究課題 膜結合型mucinによる薬物吸収制御機構の解明
実施形態 文部科学省科学研究費補助金
研究委託元等の名称 日本学術振興会
研究種目名 基盤研究(C)
研究機関 東京薬科大学
代表分担区分 研究分担者
研究者・共同研究者 岸本 久直,樋口 慧,井上 勝央
概要 本年度は、膜結合型mucin安定発現系培養細胞の樹立および脂溶性の異なる薬物の細胞膜透過性に及ぼすmucinタンパク質の影響について詳細な検討を行った。まず、薬物吸収を評価する代表的な上皮細胞モデルであるCaco-2細胞およびヒト結腸癌由来HT29細胞を用い、膜結合型mucinのうちMUC1(細胞内ドメインを除いたΔCT型)およびMUC13(いずれもGFP標識体として)を遺伝子発現調節ツール(Tet-Onシステム)の下流に組込み、ヒトゲノム内AAVS1領域への遺伝子編集により導入した。Tet-Onシステム活性化処理後、GFP蛍光の経日的(1~3日間)な強度増加が確認でき、さらに細胞膜上での発現および局在を蛍光顕微鏡下で確認できたことから、通常、遺伝子導入が困難なこれら培養細胞に対してmucin遺伝子の導入および発現調節が可能であることが示された。一方、脂溶性抗がん剤の細胞膜透過に対するmucin糖鎖の影響について、糖鎖合成酵素GCNT3阻害剤であるtalniflumateを用いて検討を行った。被験薬物としてpaclitaxelを選択し、ヒト結腸癌由来HT29細胞に対する殺細胞効果に与えるtalniflumate併用の影響を評価したところ、paclitaxel 10 nM作用後の細胞生存率は約80%であったのに対し、talniflumate 150 μM併用時には約40%と有意に低下した。さらに、talniflumate 150 μM作用後のHT29細胞におけるMUC1およびMUC4のタンパク質発現量は有意に低下した。これらの結果から、talniflumateによるpaclitaxelの殺細胞効果の増強には、mucinタンパク質の発現低下に伴うpaclitaxelの細胞内移行性の増加が関与している可能性が示唆された。
PermalinkURL https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K06695