シラガ ノブユキ   Shiraga Nobuyuki
  白神 伸之
   所属   東邦大学  医学部 医学科
   職種   特任教授
言語種別 日本語
発表タイトル 乳癌術前化学療法の効果と腫瘍内血流の変化.
会議名 第23回日本乳腺甲状腺超音波診断会議
学会区分 国内学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎金澤真作†, 緒方秀昭†, 馬越俊輔†, 三塚幸夫†, 大久保陽一郎†, 密田亜希†, 羽鳥努†, 白神伸之†, 澁谷和俊†, 金子弘真†
発表年月日 2009/10/11
開催地
(都市, 国名)
東京
学会抄録 Proceedings The 23th Meeting of Japan Association of Breast and Thyroid Sonology 137
概要 背景:ソナゾイドを用いた造影超音波検査(CEUS)は、現時点では肝腫瘍性疾患のみに保険適応が認められている。我々は、院内委員会の承認のもと被験者へ文書によるインフォームドコンセントを行ったうえで、乳腺疾患に対しソナゾイドを用いたCEUSを行っている。ソナゾイドを用いたCEUSでは、腫瘍の微細な血流が観察可能であることが判ってきた。今回、ソナゾイドCEUSで経過観察した術前化学療法症例で、術前化学療法の効果と血流の変化を比較検討した。
目的:ソナゾイドCEUSで観察した腫瘍血流の変化が、乳癌術前化学療法の効果を反映しているか検討する。
方法:術前化学療法は、約6カ月間かけてFEC100を4コース施行した後 TXT75を4コース施行した。途中でPDと判断されない限り予定の化学療法を継続した。CEUSは、術前化学療法前後と治療開始後約2ヶ月後と4カ月後の計4回施行した。ソナゾイドは肝疾患での推奨量の半量を静脈内投与、全例で複数回投与を行った。使用した超音波診断装置はaplio XG、探触子は高周波リニアプローブPLT-805AT。
結果:術前化学療法施行後に腫瘍陰影の消失した症例、縮小した症例および変化の見られなかった症例に分かれた。腫瘍陰影の消失した症例では、腫瘍血流も消失しており化学療法の効果はpCRであった。腫瘍陰影の縮小した症例では、腫瘍血流のほぼ消失した症例と腫瘍血流にほとんど変化の見られなかった症例があった。腫瘍血流のほぼ消失した症例における化学療法の効果はpCRであったが、腫瘍血流にほとんど変化の見られなかった症例では癌細胞の遺残を認めた。腫瘍陰影に変化の見られなかった症例では、腫瘍血流にほとんど変化のない症例と著明に腫瘍血流の減少した症例があった。腫瘍血流にほとんど変化のない症例では化学療法の効果は見られなかったが、腫瘍血流の著明な減少が見られた症例では腫瘍の一部に癌組織の遺残を認めるのみであった。
術前化学療法後の腫瘍陰影はその治療効果を必ずしも反映していなかったが、腫瘍内血流の低下は治療効果を反映する変化であった。
まとめ:術前化学療法施行時の腫瘍内血流の減少は化学療法の効果を反映し、治療効果が高いほど腫瘍内血流は低下していた。ソナゾイドCEUSでの腫瘍内血流の観察は、術前化学療法の効果判定に有用であった。