マツザワ ヤスオ   Matsuzawa Yasuo
  松澤 康雄
   所属   東邦大学  医学部 医学科(佐倉病院)
   職種   臨床教授
言語種別 日本語
発表タイトル 異なるEGFR遺伝子変異を有する同時性多発肺腺癌の一例
会議名 第50回日本肺癌学会総会
学会区分 国内学会
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎森山彩子, 長島誠†, 杉下雄為†, 瓜田祐, 北原知晃, 高木隆一, 吉田豊, 大城充†, 川島辰男†, 松澤康雄†, 若林徹, 蛭田啓之†, 亀田典章†, 加藤良二†
発表年月日 2009/11/13
開催地
(都市, 国名)
東京
学会抄録 肺癌 49(5),788 2009
概要 症例は60歳代の女性.健診の胸部レントゲン検査で右肺野に複数の異常陰影を指摘され,当院に紹介受診となった.右S2とS9の病変に対して気管支鏡下生検を施行,両病変とも腺癌と診断された.遠隔転移を認めなかったため,胸腔鏡補助下・小開胸併用による手術を選択し治療を行った.術中所見にて,S2とS9の病変に加えS4にも胸膜陥入を伴った結節病変を認めたため,右肺上葉と中葉の部分切除,下葉切除,縦隔リンパ節郭清術ND2aを施行した.術後の病理組織学的検査にて,3病変は高分化型腺癌と診断され,#7と#11iのリンパ節に転移を認めた.S2とS4の病変はT1の腫瘍径であったが,S9の病変は4cm大(T2)で気管支周囲のリンパ管に高度の脈管侵襲像が確認されたため,リンパ節転移はS9の腫瘍からと診断した.さらに,EGFR遺伝子変異解析にて,S2とS4の病変にはL858R,S9の病変にはE746-A750del Type2と異なるGefitinib感受性EGFR遺伝子変異を認めたため,S2とS4の腫瘍は,S9腫瘍の肺内転移ではなく,同時性多発肺腺癌と診断した.術後はGefitinibを投与し,現在まで2年間,無再発で経過し,新たな腺癌の出現を疑う病変も出現していない.我々は,異なるEGFR遺伝子変異を有する同時性多発肺腺癌という稀な症例を経験した.肺内転移と同時多発肺癌の鑑別に,EGFR遺伝子変異の解析は有効であった.今後は,EGFR遺伝子変異を誘導しやすい宿主側の因子,非癌部肺細胞における遺伝子多型やDNA損傷等の解析が重要であると考えられる.